透明水彩?不透明水彩?水彩画初心者の方へ絵の具の違いを丁寧に解説!
こんにちは、たくみです。
水彩画を趣味にされる方はとっても
多いですね。淡い色彩やにじんだ
表現などの美しい作品を描写すると
鑑賞する場合とはまた違った
感動があります。
今回は、これから水彩画を始めようと
される方々から頂いた以下のような
質問にお応えする記事になります。
「絵の具の種類、
違いを知りたいです」
「透明と不透明の絵の具、
どんな作品で使い分けるの?」
水彩画を描かれる方も最初はこうした
疑問を抱いたと思います。
それはそうですよね、
透明?不透明?
と言われてもどういうこと??
と思いますよね(汗)
ただこうした違いを知ることで、
皆さんが描いてみたい作品に適した
絵の具を使用していくことができますよ。
今回の説明にあたっては、
いわゆる専門用語はあまり使用せず、
わかりやすい表現で解説して
いきたいと思います。
それではゆったり解説していきましょう。
主な絵の具の種類
水彩絵の具と言っても以下のような
種類があります(ここでは5種類)
◆透明水彩絵の具
◆不透明水彩絵の具
◆アクリル
◆アクリルガッシュ
◆ポスターカラー
など・・
こうした種類の多さで水彩画を始める
初心者の方が迷うことになりますが、
具体的な成分や特徴を知ることで
不安は解消されると思います。
透明水彩絵の具(ホルベイン)
(左)アクリルガッシュ(ターナー)、
(右)ポスターカラー(ニッカー)
水彩絵の具とは
基本的なことから説明しましょう。
まず、水彩絵の具とは何でしょうか。
それは水で溶いて使用する絵の具です。
ということは冒頭の5種類の絵の具は
すべて水彩絵の具になるんですね。
絵の具の主な成分の構成は
顔料(色の素)+展色材(糊成分)
ということになります。
これは色の粉末だけでは紙などに付着
しないので糊(のり)成分を混ぜた
状態が絵の具となるんですね。
そしてこの
糊成分の違い、割合の違いが
それぞれの絵の具の違い
となります。
透明水彩や不透明水彩の糊成分が
天然樹脂由来のアラビアゴムで、
アクリルやアクリルガッシュでは
アクリル樹脂が糊成分となります。
水彩絵の具の特性
上のイラストのように、例えば
透明水彩は顔料少な目+アラビアゴム、
アクリルガッシュは顔料多め+
アクリル樹脂となっています。
また、着色後に水彩絵の具は耐水性が
なく乾燥後でも水でまたぼかすこと
ができますが、アクリル絵の具は
乾燥後は水に強い耐水性になります。
この耐水性も大きな違いですね。
ポスターカラーは顔料が多く
不透明水彩絵の具ではありますが、
糊成分がアラビアゴムのため
乾燥後も水に溶けやすい性質です。
(アクリルガッシュとの違い)
それでは着色した際の違いを
見ていきましょう。
次の比較画像でそれぞれの
特性が簡単に分かるかと思います。
基本的な色合いの比較
基本的な色彩である
赤(マゼンタ)
青(シアン)
黄(イエロー)
を着色してあります。
透明水彩絵の具は淡い色合いが
特徴的で、不透明水彩のアクリル
ガッシュは控えめな色彩ながら
均一なマットな着色となり、
ポスターカラーは発色がよく
マットな仕上がりになります。
(メーカーにより多少差があります)
着色例
ご覧のように、それぞれの絵の具の
特性が仕上がりの違いとなって
顕著に表れていますね。
にじみの比較
作品の乾燥後の耐水性の比較
になります。
これは手直し(修正)したい場合に
アクリル系以外の透明水彩絵の具と
不透明水彩絵の具(ポスターカラー含む)
は水に溶けやすいので修正しやすい
ということになります。
ただし作品の完成後には湿気など
保管に気を付けないと作品に影響も
出てしまうことにもなりますので
注意が必要ですね。
作品の比較例
透明水彩とアクリルガッシュ(不透明水彩)
透明水彩絵の具(左)とアクリルガッシュ(右)
◆描き方にもよりますが、
画像のように透明水彩は淡く柔らかな
仕上がり、アクリルガッシュは
明瞭でしっかりした色彩になる傾向が
一般的にあります。
もう1枚風景画を見てみましょう。
上高地(水彩画)
こちらも透明水彩絵の具で描いた
作品(上高地)になります。
山や木、そして川面など全体的に
柔らかなタッチの仕上がりですね。
※「インスタグラムへの投稿作品」
メリット・デメリット
描写における絵の具の特徴は
理解していただけたと思います。
それでは各絵の具の長所や短所とは
一体何でしょうか?
次はそういう視点で見ていきましょう。
透明水彩・不透明水彩絵の具(以下Ⓐ)
とアクリル・アクリルガッシュ(以下Ⓑ)
の2つで比較すると、Ⓐは乾燥後の
屋外や日光の耐光性があり、長期保存
に向いていることが挙げられます。
しかしⒷは耐光性が弱く、屋内での展示
にどうしても限定されていきます。
例えば長期のイベントなどで看板や
ポスターを描く場合にはアクリル系は
屋外で向かない画材になります。
(ポスターカラーも同様です)
※ただしアクリルには別途で耐光性を高める
などのアタッチメントの画材も豊富です
また、
アクリル(透明)は油絵のように
薄く重ね塗りにも向いていますが
アクリルガッシュ(不透明)は
極端な厚塗りには向いていませんので、
水彩紙などを丸めたりするとヒビが
入り作品が痛む原因にもなります。
(通常の重ね塗りは問題ありません)
そして色彩の経年劣化もあります。
とはいえ屋内展示が一般的ですし、
あまり神経質になる必要はありません
が、作品の良好な長期保存を求める
方は一般的な水彩絵の具を使用し
屋内での鑑賞がいいでしょうね。
ちなみに僕自身の作品で言えば、
アクリルガッシュでもほとんど劣化は
ありません(色彩も)
ポスターカラーも同様ですが、カビに
は気を付けて保存しましょう(湿度)
おすすめの描き方
こうした特徴をふまえて作品を
描いていくことになりますが、
実際は僕もそこまで保存のことを
考えて制作するというより、やはり
発色や描きやすさを重点に絵の具を
その都度選択している感じなんです。
例えば春の爽やかな風景を描く場合は
透明水彩絵の具を多用しますし、
夏の青々とした風景ではアクリルや
ポスターカラーも使用します。
風景やお花の作品でよく見かける
「にじみ」や「ぼかし」を多用した
作品は主に透明水彩絵の具ですね。
幾何学的なデザイン風の作品や
短期間のお祭りのポスターなどでは
マットに着色しやすいガッシュや
ポスターカラーが向いています。
ただしこれらは一般的な使用方法
であって、皆さんが好きな絵の具で
描いていくことも大事な選択ですね。
さて、最後に数種類の絵の具を併用した
作品例をご紹介致します。
絵の具を併用する描き方
これから皆さんがいろいろな作品を
描いていくうちに、異なる絵の具を
同じ作品に使用してみたらどうなる
のかなぁ、とふと考えたりするかも
知れません。
そこで宇宙というテーマが共通した
次の2作品を見ていきましょう。
イラスト①「銀河」
【透明水彩+アクリルガッシュ】
イラスト①では、
透明水彩で全体を着色後、
アクリルガッシュ白でハイライトを
加筆して銀河の輝きを強調しています。
イラスト②「銀河鉄道の夜」
【透明水彩+ポスターカラー】
イラスト②では、
透明水彩で背景を着色後、
ポスターカラーで機関車を着色
して立体感を出しています。
画像のように濃い目に溶いた
ポスターカラーで着色しました。
(薄く溶くと下地の透明水彩絵の具と
混じることがあるため)
いかがでしょうか、
それぞれのこうした成分の違いや
特徴を生かして、これから皆さんが
描いていきたい作品にぴったりの
絵の具を使い分けて(見つけて)いくと
きっと素敵な色合いの作品が
完成することでしょう。
◇◇ 絵の具を購入してみたい方 ◇◇
◇透明水彩絵の具12色
◇アクリルガッシュ24色
◇ポスターカラー18色
☆インスタへもいろいろな画材で
描いた作品を投稿しています。
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画家・たくみ